fc2ブログ
バンコクで起業ししたものの、タイ語は難しい・・・日々努力。
magmag2021.8.30の再掲です。magmagでは、過去の記事が見えないため、記録という点から,blogでも紹介しています。

タイ経済、2つのエンジンと医療機器など成長産業は
―アフターコロナに向けての新しい指針はあるのか?

2019年末から2021年8月まで、コロナ感染で、タイ経済を支えていた観光産業は壊滅状態であった。7月から、プーケット・バブルでワクチン接種の外国人観光客を受け入れたが、7月だけで見ると2万人。9月以降は、感染者の伸びが減少していることから規制の緩和が行われ、空の国内線の離着陸禁止が緩和される見込みである。
では、2021年の経済を支えてきたのは何か?それは、輸出と投資である。

1)輸出;タイ商業省の7月の貿易統計が23日発表された 。バーツ安を背景に輸出は5か月連続増進で226億ドル(前年同期比20.2%増)輸入は224億ドル(45.9%増)、収支差額は1億8346万ドルになった。これで、1-7月の輸出は拡大し、前年同期比16.2%増の1549.9億ドル、輸入は同じく28.7%増の1523.6億ドルとなった。収支差額は26.2億ドルである。輸出を牽引した上位5品目は、果物類が前年比122%増、石油製品、同70.8%増、プラステイックペレット同57.8%増、自動車および部品、同38.2%増、半導体25.9%であった。

2)投資は拡大;2020年からのコロナ過で、タイへの投資が懸念されていたが、依然として好調である。9日タイ政府投資委員会(BOI)の発表 によるとコロナの感染者の増加にも関わらず、1-6月の上半期のタイへの投資件数、金額は電子部品と医療分野を中心に前年同期比、倍増した。上半期は、合計801件の申請があり、投資総額は3862億バーツになる。ちなみに、昨年は704件の申請、1497億バーツの投資額であった。国別には、1位は日本、2位は米国、3位は中国である。

ここ数年の成長している産業をみると、医療産業、電子・電機産業、製紙産業はコロナ禍にあっても業績を伸ばしている。フィリーコピー誌でエミダス7-8月号を参照して医療機器、医療産業の数字を紹介する。
1) 医療産業 医療機器市場は2018年から2021年増加傾向で、2020年は前年比88%増、2021年1-4月は前年同期比62%増。医療機器の2020年の輸入額は前年比10%増。2021年1-3月期は同3%増となった。(元の資料は商業省事業開発局)
2) 2021年1-4月の新規設立された医薬品・医療品の小売業は前年同期比24.42%増の535社。登録資本金の合計は27.91%増の9億3767万バーツであった(平均すると175万バーツの資本金) これを2020年3-4月期のデータによるとコロナ第1波で登録件数が前年同期比35.73%増となっている。2021年の第2波、第3波の影響から、登録件数は増加することも予想される。医療用医薬品の需要もそれに応じて増加している。
3) 4月30日現在の事業数および資本金に関するデータによると、医薬品・医療品の小売り・配送の事業数は10,386社(タイ全事業の1.31%)、資本金は822億8684万バーツ(同0.42%)で、平均すると792万バーツである。登録資本金のランク分けで見ると、101-500万バーツが2589件(7050社)、501-イ億バーツの事業は629件、1億バーツ以上は118件となっている。2021年の事業者の増資は前年同期比46.22%減の35億6200万バーツであった。
4) 地域的には。医薬品・医療品の小売り・配送事業はバンコクに集中している。事業者数は5149件(全体の49.57%)、登録資本金で548億7122万バーツ(同66.69%)。登録事業所数は2251社(21.68%)となっている。

これに対して、工業大臣は、工業省産業振興局が医療機器産業の継続的な成長を加速させていると、説明をされている。医療製品。医療機器、医療サービスの可能性と水準を国際的なレベルまで引き上げることを目的としている。タイの事業者が競争力を高め、医療製品の規格の審査、認定を正確かつ迅速に、適正な価格で行うことを推進する。工業省はその重要性を認識し、健康危機への最も効果的な対応策を推進している医療機器業界への支援を急いでいる。
国家経済社会開発庁(NESDB)は工業省の方針にそって新型コロナの状況に合わせて、医療機器産業への支援を以下の4つの緊急対策を講じている。
1) 人材育成 医療機器業界の人材が、現在の技術と応用技術の両方の知識を併せ持つ。技術の適切な適用、医療機器産業の規制や規則に関する知識と理解を生み出す。
2) 製品。試作開発の強化;再生、診断、治療の分野を含め、AIとIotに関連するイノベーションと技術開発を推進する。。フルフェイスマスク用の連続空気供給キット、人工呼吸器テスター、健康情報コンサルテイング・システムなど、新型コロナの流行対処するため、イノベーションと技術開発の両面をカバーする。肺疾患分析用のAIシステム、唾液ミスト吸引機(歯科用器具)などの製品のプロトタイプの開発を、教育機関、研究所をはじめ医療関係者が一体となって行う。
3) 製造業およびサービス業のサポート;企業のコスト削減を可能にする生産プロセスの改善と開発を行う。生産に関する廃棄物の削減、またマーケテイング計画を推進し、付加価値をつけて再販売を推進する。
4) 産業集積の推進;強力な産業グループを形成し、医療機器産業の能力を向上させるため、産業の統合を行う。ビジョンの共有、技術移転と知識の提供、医療機器規格試験機関のネットワーク上でのデータ作成、収集などあらゆる次元での準備を整える。また、現状に即した新製品の試作品も共同開発を行う、という計画がある。
国家経済社会開発庁NESDBは2021年までに医療機器業界の100人以上の起業家や人材を支援することと目指している。同庁は2016年から2020年にかけて、400以上の医療機器産業のアップグレードを実現した、と報じられている。(なお、電子機器、電気製品、紙パルプ産業に関しては、次の機会に紹介する)

[タイ経済、2つのエンジンと医療機器など成長産業は]の続きを読む
スポンサーサイト